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慢性頭痛外来 概要


ご案内

 日本人の1/3は何らかの頭痛を抱えていると言われます。多くの慢性的な頭痛に対して、有効な治療法が存在しますが、未だ社会的な啓発も不十分で、治療されるべき頭痛が治療されないままに放置されている現状があります。
 たかが頭痛ぐらいで・・・とは思っていませんか?特に、片頭痛は国民の800万人が罹患しているとも言われる国民的疾患です。
 働き盛りの年代に多いことから、その日本経済に与える損失は毎年数千億円との推察もあります。

仕事や学業に悪影響している頭痛はありませんか?

慢性頭痛外来では、主に以下の疾患を対象とし診療を行います(国際頭痛分類に基づく)

片頭痛

しばしば強い症状を生じることから、学校や仕事を休まねばならないこともあるため、身体的のみならず社会的にもつらい思いをされている患者さんが多くおられます。
有病率が高い頭痛ではありますが、まだまだ正確な理解が社会一般にすすんでいないように見受けられます。
 
片頭痛には明確な診断基準があります。

「前兆のない片頭痛」の診断基準(ICHD-3)

A. B~Dを満たす頭痛発作が5回以上ある
B. 頭痛の持続時間は4~72時間である
C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも2項目を満たす
 (1) 片側性
 (2) 拍動性
 (3) 中等度~重度の頭痛
 (4) 日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のため日常的な動作を避ける
D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす
 (1) 悪心または嘔吐(あるいはその両方)
 (2) 光過敏および音過敏
E. ほかに最適なICHD-3の診断がない


「片」頭痛と名前がついていることから、片側の頭痛と思いがちですが、「片側性」は4つある必要条件のうちの一つに過ぎません。
また日常生活の障害となるほどの症状が繰り返し起こることも特徴です。
月に3日以上の片頭痛発作が起こる場合には、予防薬の使用がきわめて有効な場合があります。
月経や天候に関連していることもあります。患者さんの背景にも考慮しながら、必要に応じて漢方薬やビタミン剤を使用することもあります。

緊張型頭痛

 

慢性頭痛の中で最も頻度が高く、多くの人が経験する頭痛です。
有病率は極めて高いですが、症状は片頭痛や群発頭痛などに比べて軽いことが多く、日常生活の一部として受け止めて病院受診されないことも多いです。
発症の詳しいメカニズムはまだ良くわかっていません。一般的には、肩こりに関連した頭痛と考えられていますが、痛みに対する閾値の低下なども要因とされています。

三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛など)

Trigeminal autonomic cephalalgias(TACs)と称されます。群発頭痛もこのグループに分類されます。
眼の充血や流涙、鼻漏などの自律神経症状を伴うことが特徴です。群発頭痛は30歳~40歳代という働き盛りの男性に多く発症するとされています。
非群発期には無症状ですが、群発期には激しい頭痛を繰り返すことが特徴です。群発頭痛は入眠後2時間程度で生じることが多く、睡眠関連頭痛に分類されています。群発期には飲酒や昼寝も誘発要因となります。 

朝起きたときの頭痛や、睡眠中の頭痛はありませんか?

それも病気の可能性があります。当院では、全国でも有数の規模の睡眠医療センターを併設しており、睡眠障害との関連にも着目しながら診療を行っていることが最大の特徴です。

睡眠時無呼吸性頭痛

睡眠時無呼吸症候群に付随して生じる頭痛で、朝に症状が強いことが特徴です。
睡眠の質の低下も伴っていますので、日常生活に大きな支障をきたしている場合があります。

睡眠時無呼吸性頭痛の診断基準(ICHD-3)

A. 睡眠の覚醒時に起こり、Cを満たす頭痛
B. 無呼吸-呼吸低下指数は5以上の睡眠時無呼吸が診断されている
C. 原因となる証拠として、以下のうち少なくとも2項目が示されている
  ① 頭痛は、睡眠時無呼吸発作の発症と一致して発現している
  ② 以下のうち一方もしくは両方
    a) 頭痛は、睡眠時無呼吸発作と並行して悪化した
    b) 頭痛は、睡眠時無呼吸発作が改善もしくは消失するのと並行して有意に改善したか消失している
  ③ 頭痛は、以下の3項目のうち、少なくとも1つを有する
    a) 1か月に15日以上発現する
    b) 以下の全て
      i. 両側
      ii. 圧迫感
      iii. 悪心、光過敏、音過敏を伴わない
    c) 4時間以内に消失
D. ほかに最適なICHD-3の診断がない

診断確定には終夜ポリソムノグラフィー検査(睡眠の精密検査)が必要です。
また、症状の改善のためには無呼吸の治療が必要となりますので、是非ご相談ください。 
また、起床時の頭痛については、睡眠時無呼吸症候群以外にも考慮しなければならない疾患が存在します。是非ご相談ください。

睡眠時頭痛

睡眠中に、頻回に繰り返し起こる頭痛発作で、覚醒の原因となります。
原因はまだ良くわかっていない珍しい頭痛です。

睡眠時頭痛の診断基準(ICHD-3)

A. B~Eを満たす繰り返す頭痛発作がある
B. 睡眠中のみに起こり、覚醒の原因となる
C. 月に10日以上、3か月を超えて起こる
D. 覚醒後15分~4時間まで持続する
E. 頭部自律神経症状や落着きのなさを認めない
F. ほかに最適なICHD-3の診断がない

睡眠時無呼吸症候群、夜間高血圧、低血糖、薬剤使用過多などが鑑別となります。

その他

頭痛の原因となる疾患は様々で、それぞれの疾患により治療法も異なります。一度ご相談ください。


診療について

金曜午後(必ず事前にご予約ください)
初診時には問診票・頭痛アンケートの記入をお願いいたします。
また、頭痛日記の記載をお願いしています。
診療における大切な情報源となりますので、ご協力をお願いいたします。



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